島本理生『ノスタルジア』感想|読後も残り続ける不思議な余韻
2026.07.18
ノスタルジア

島本理生さんの作品です。

五年ほど新しい作品を書けずにいる小説家の紗文は、知人の紹介で、東京に出てきたばかりの創という若者を家に泊めることになった。

創は、殺人事件の加害者を母に持つ素性が周囲に知られ、住む場所も職場も失っていた。

人当たりのいい創との共同生活は順調だったが、紗文の周りで常識を超えた不可思議な現象が起こり始めて—。

家庭環境が複雑だった書けない作家の主人公にも、加害者の母親を持つ青年にも、ナチュラルマウント男の知人の主要メンバー3人ともに共感ができず、感情移入もしていない、それなのに静かな熱を感じ最後まで読み切ってしまった。

人物に惹かれたというより「この不思議な感情、正体を知りたい」が勝ったんだと思う。
現実と非現実の境界線が、ずっと揺れているような物語だった。

人の歪みや、行き場のない感情、何かしらの不思議な感覚、それが読後からしばらく消えませんでした。

「間違ったものに一度でも救われたら、それもすべて間違いだと思いますか?」

人に見返りを求めてしまう方、過去の恋愛を引きづっている方、不思議な読後感が好きな方には特に刺さる1冊かと思います。

★★☆☆☆

城崎温泉 泉翠 冨田 歩

https://kinosaki-sensui.com


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