原田 マハ
楽園のカンヴァス
原田マハさんの作品です。
ルソーとピカソが生涯抱えた秘密とは？！ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは７日間。ライバルは日本人研究者・早川織江。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに籠めた想いとは–。
原田マハさん×アート本といえば、私の中で間違いない読書の代名詞。何度かブログでもご紹介させていただいたかと思います。が、こちらはその中でもずば抜けておりました。あらすじだけ見ると芸術に興味ない方や、カタカナの名前に及び腰になる方もいるかと思います。私もどちらかというとそのタイプ。でもこれは！ぜひ読んでみていただきたいです。
こちらの作品から浴びせられる情熱のパワーには何度も鳥肌がたちました。画家の持つ情熱、周りの生き方さえ変えることもある。序盤からの気になる展開に一気に惹かれ読了しました。
ミステリー要素もあって最後まで想像を掻き立てられましたが、最後の展開は予想もできず・・身震いしました。
主人公の織江やティムも芯があってお互いに尊敬があり、ライバルながらにカッコいいんです。異国の地での情景が頭に鮮明に浮かんで、上質な旅行を一緒に楽しんでいるかのような気分にもなりました。
「名画を名画たらしめる決定的な要素とは見る者の心を奪う決定的な何かが、絵の中にあるか、『目』と『手』と『心』のこの３つが揃っているかだ。」
「アートは私にとって、世界中、どこででも待っていてくれる友だち。そして美術館は『友だちの家』みたいなものだったので」
アートが友だちって表現が素敵。なるほどです。この作品は面白いと方々から聞いていたのですが積読になっていて。早く読まなかったことが悔やまれる。瞬間的な面白かったというだけでなく、折に触れてまた読みたい貴重な作品になりました。
とっても綺麗で素敵なミステリー。読後は心地よい満足感を感じていただけると思います。秋の夜長にオススメします。
★★★★★
城崎温泉 泉翠 冨田 歩
