町田そのこさんの作品です。
夜明けのはざま
自分の情けなさに、歯噛みしたことのない人間なんて、いない。
地方都市の寂れた町にある、家族葬専門の葬儀社「芥子実庵」。仕事のやりがいと結婚の間で揺れ動く中、親友の自死の知らせを受けた葬祭ディレクター、元夫の葬儀を手伝うことになった花屋、世界で一番会いたくなかった男に再会した葬儀社の新人社員、夫との関係に悩む中、元恋人の訃報を受け取った主婦……。
帯の言葉に衝撃を受け、しっかり読みたいと家ではなく長時間移動を読書時間にあてたのですが。失敗でした、比較的早めに、そして全体的に刺さる部分があって鼻水小僧になってしまいました。。けど続きが気になりすぎて止めれない。。そんな無我夢中な読書時間になりました。すっごく良い!やっぱり外さない作家さんだわ!!
「どれだけ幸福そうに見えても、みんな、それぞれ何かを背負って生きてる。情けなさに歯噛みしたことのない人間なんて、いないんだよ」
「いつかきっと、自分で自分の答えを見つけ出せるだろうから。自力で見つけたものだけが、万の言葉よりも自分を納得させるものだよ」
「一緒にいきていくために大切なのは「幸せの瞬間」だけではなくて、「相手の幸せを考える瞬間」も大事なんだよ」
「ぼくたちはあまりにも、明日に任せすぎている」
「悲しみを前にくずれおちても、人はどうにか立ち上がろうとする、て言われている。でも、立ち上がれない人もいるよ。その人を喪う前の自分じゃなくなってしまう人だっている。誰も寄り添えない辛さ、があるだろうと思うよ」
「それくらい、って言わないで。自分がそうやって簡単に言い捨てたことが、相手の大切なものだったりするんだよ」
自分に正直に生きることはとても大事。自分の芯を大事にしたい。けどそれは相手や周りに必ず受け入れてもらえるものとは限らない。その時どうにか譲り合えるのか、どちらかを選択しなければいけないのか。歯がゆさにどうにかなりそうでした、、
歯噛みしたことがない人はいないとの触れ込み通り、どの章のどの人の思いにも心揺さぶられたのだけど。特に葬祭ディレクターの真奈は、大きな決断をすることも多くどんどん成長していって。最後社長にかける言葉は頼もしすぎて(涙)
色んな結婚の形があったのでこれから結婚する人にも読んでほしいし、している人にも刺さります。そして死は誰もが避けて通れないことなので、「生」を見つめ直したり自分の幸せを考えるきっかけにもなろうこの作品は全ての人にオススメします!
★★★★☆4.5
城崎温泉 泉翠 冨田 歩