近藤史恵さんの作品です。
シャルロットは七歳の雌のジャーマンシェパード。お利口だけど、普段はのんきな元警察犬。彼女と一緒にいると、いろんな事件に遭遇する。向かいの家には隠されたもう一人がいる?偶然関わることとなったドッグスクールの不穏な噂とは?それでも、シャルロットと出会えて本当に良かった。謎に惑い、犬と暮らす喜びに満ちた、極上のコージーミステリー。
出てくるワンちゃんの生き生きとした姿や愛らしさ!!ただ可愛いだけじゃなくって、ワンちゃんがしてしまう困ったイタズラに、「あるある!」の共感の嵐でした。動物がいる生活は本当にかけがえのないもので、その一方、自分の時間をとられたり制限されることも出てくる。それ以上に心を満たしてくれる時間や愛情。またいつか飼いたいなとキュンキュンしてしまいました。
ペットを飼う家も様々で、簡単に手放したり虐待する飼い主もいる。人間と動物の関係は、多種多様でとても不思議です。ご近所で起こる犯罪やトラブルを夫婦と元警察犬のシャルロットが解決に導いていくのが面白かったです。
動物を無責任に飼う人や、『天使で悪魔でシャルロット』の章の無意識に母を軽んじる家族にはゾクッとしました。
主人公夫婦のお互い尊重しあう、思いやりにあふれた生活にもほっこり。そしてその真ん中にはシャルロット。ほくほくした気分にさせてもらいました。
ハートフル!だけど、人間の裏側を見せつけられる事件。命を預かる重さ。身近に感じる感情で改めていろんなことを感じる1冊でした。
『家族や学校以外に、大好きなものが増えると、少しだけ生きるのが楽になるのだ』
『人生はどう転ぶかわからない。よくないことが起こったとしても、そこからいいことに繋がっていくかもしれないのだ』
ほっこりミステリーが好きな方、犬が好き、動物が好きな方には特におすすめの1冊です。
★★★★☆
城崎温泉 泉翠 冨田 歩