山本幸久さんの作品です。
24歳、ブラック企業勤務。身も心も疲れ果てていた紀久子が深夜のファミレスで出会ったのは、外島李多と名乗る女性だった。彼女は「川原崎花店」という花屋さんを駅前で営んでいるらしく、酔っぱらった勢いで働くことに。やたらカレー作りがうまい青年や、おしゃべり好きの元教師、全体的に適当な李多。バラエティに富んだ従業員と色とりどりのお花に囲まれながら、徐々に花屋さんの仕事に慣れていく。花を求めるお客さんの事情はそれぞれ。誰かを祝う花もあれば、切ない花もある。いろんな想いが詰まったお花を届けているうちに、紀久子は自分の心にもう一度向き合いはじめ。
人との関わりで主人公が自分のやりたい事を再認識し突き進んでいくところがすごく良かった!
お仕事小説ですが熱血、奮闘!!って感じではなく。終時穏やかに心地よく、ほんわかした優しい気持ちになれました。回り道したからこそ、出会えるご縁や物がある感じが好き!思いもかけない世界で主人公がどう過ごしているのかぜひ覗いてみてください。
各章が、花言葉にまつわる言葉になっているのだけど。花の色や本数によっても意味がかわるということも面白いし。和歌や短歌も盛り込まれ素敵なスパイスになっていました。
お花が好きな方、幸せほっこり気分になりたい方、心が疲れていてビタミン剤が必要な方、人と人の繋がりを感じたい方、特におすすめします。
★★★★☆
城崎温泉 泉翠 冨田 歩