重松清さんの作品です。
この気持ちは、なんだろう?自分のこと、友達のこと、家族のこと、街のこと。胸のモヤモヤ、ギュッとなる苦しさ、過ぎ去ってしまったあの時のこと。初めて湧き上がる大きな感情に驚き、戸惑い、わからなくても僕たちは考える。この世界をいっしょに歩いていくために。生きることに全力で向かう姿がみずみずしく描かれた10の物語。
主人公たちはほとんどが小学生たち。「いいヤツってなんだろう?」「今は今しかないのに・・(世界で感染が蔓延しているなかで)」「さびれていくふるさとに危ないけれど、経済的には助かるごみ処理場ができたら・・」「おとなになるって、どういうこと?」「差別ってなんだろう?」「努力ってなんだろう?」
子どもたちのなぜ?にこたえられますか?
この物語に答えはありません。主人公と一緒に体験できるお話です。
子どもだった自分を思い出さずにはいられない描写に、なんだか胸が締め付けられました。また、小学生の子どもがいる親としては、小さな体でこんなにも色々なことを考えてるんだ、考えていたなぁ・・といじらしく不思議な気持ちに。
いろんな壁にぶつかるし、答えの出ないことに悩むのはいつの世代でもあること。生きるってその繰り返しなんだろうなとしみじみしました。
『おばあちゃんのメモ』にグッときて、『タケオの遠回り』には自分なりの答えがまだ出せません。
じっくりと自分と対話できる読書としてオススメします。
★★★☆☆
城崎温泉 泉翠 冨田 歩