原田ひ香さんの作品です。
昭和、平成、令和。時代は変わっても、実家から送られてくる小包の中身は変わらない!?業者から買った野菜を「実家から」と偽る女性、父が毎年受けっとっていた小包の謎、そして、母から届いた最後の荷物。実家から届く様々な《想い》を、是非、開封して下さい。
タイトル的にエッセーかクスっと笑える話なのかと思いましたが、予想を裏切られ、心温まる6つの短編集でした。うまくいってるだけの関係だけではありませんが、どれも母と娘の絶妙な関係性が描かれていて温かい気持ちになれました。『最後の小包』はリアルで切なく号泣。。母親目線と娘目線どちらも分かりすぎて感情大忙し!
このタイトルは身に覚えのある人も多いかと思います。私もその中の一人で、大学で一人暮らししていた私に送ってくれていた母からの小包を思い出しました。中身は当時ハマっていたアセロラジュースや、トイレットペーパー、幼少期好きだったお菓子などなど。送料払ってまで送るものか~?今はもう好きじゃないんだけどな~なんて思いながらも楽しみにしていた小包。
当時の記憶が飛び出してきて、幸せな気持ちになりました。親心に感謝です。母親からの愛情、ただの日常だったけど改めて思い返すと、幸せで大切な記憶です。当たり前と思っちゃいけないですね。そんな記憶を持っている自分はなんと幸せなことか。見守ってくれている人がいるというのは心強いものだなと柄にもなく思いました。
この本を読んで思ったのは、母親の小包のダサさ(←いい意味で!)は格好つける必要がない純粋な愛情の塊だからですね。きっと私もいつか我が子にしてしまうのでしょう、考えて考え抜いたダサくて愛情たっぷりの小包便。
温かい話が読みたい方、タイトルに心当たりがある方、家族がテーマの話が読みたい方、読みやすい本で心じんわりしたい方、特にお勧めいたします。読むだけでちょっと幸せ気分になれる1冊です。
★★★★☆
城崎温泉 泉翠 冨田 歩