白鳥とコウモリ | 東野圭吾 | 若女将の読書 | 城崎温泉 泉翠
2021.10.08
白鳥とコウモリ
白鳥とコウモリ
白鳥とコウモリ
東野 圭吾

東野圭吾さんの作品です。

幸せな日々はもう手放さなければならない。

遺体で発見された善良な弁護士。一人の男が殺害を自供し事件は解決・・のはずだった。「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」2017年東京、1984年愛知を繋ぐ、ある男の”告白”、その絶望・・そして希望。私たちは未知なる迷宮に引き込まれる。。

犯人の息子も、被害者の娘も犯行内容に違和感を覚える『父はこんなことを、考え方をするだろうか?』

全く関係ないと思われる登場人物が関係しあっていて、少しずつリンクしていくところ。小出しながらに事件の全容が分かっていくのがとても面白かったです。

誰が嘘をついているのか?それは誰の為?

『優しさ』それは本当の優しさになってる?その正義は誰にとっての正義?罰を受ければ罪はなくなるのか?守るという事はどういうことなのか・・?読んでいるうちに分からなくなりました。

加害者と被害者。加害者家族と被害者家族。

誰の立場を想像しても心がギュッとしました。

「とにかく、ずっと肩身の狭い思いをしてきました。私達の過去を知っている人間たちの中には、味方なんて一人もいないと思ってたんです」

「真相なんてね、そう簡単にわかるものじゃないの。わかったとしても大したものじゃない。お父さんがよくいってた。犯行動機をうまく説明できない被告人は多いって。何となく盗んだ、気がついたら殺してた、自分でもよくわからない、そんなのばっかりだって」

「最近になってつくづく思うんですけど、検事や弁護士というのは、裁判に勝ちさえすれば真相などは二の次なんですね」

「罪と罰の問題はとても難しくて、簡単に答えを出せるものじゃない」

なんと520ページの長編。実はなかなか気分がのらず、、東野さんの35周年作品!構想5年!!「今後の目標はこの作品を超えることです」という著者の言葉。これらを胸に諦めず読みました(笑)半分弱ほど進むと面白~~い!!夢中です。長編だからという理由でためらわずぜひ手に取ってみてほしいです。

東野作品の真骨頂を見たい方、罪と罰が好きな方、秋の夜長に長編にトライしてみたい方、重厚なミステリーやずっしりした作品が好きな方、考える読書をしたい方にオススメします。

★★★★☆

城崎温泉 泉翠 冨田 歩

https://kinosaki-sensui.com/

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