原田マハさんの作品です。
誰が引き金を引いたのか?本当にピストル自殺をしたのか?「ゴッホの死」アート史上最大の謎に迫る、著者渾身の傑作ミステリー。
パリ大学で美術史の修士号を取得した高遠冴は、小さなオークション会社CDCに勤務している。週一回のオークションで扱うのは、どこかのクローゼットに眠っていた誰かにとっての「お宝」ばかり。高額の絵画取引に関わりたいと願っていた冴の元にある日、錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれる。それはフィンセント・ゴッホの自殺に使われたものだという・・・
ゴッホとゴーギャン。生前顧みられることのなかった孤高の画家たちの、真実の物語。
マハさんの描くアート関係の小説は私にとって特別。その世界観、時代にどっぷりと浸かりながらの、歴史的をくつがえす『もしも』の話に心もっていかれる贅沢さ。フィクションとノンフィクションの境目が分からなくなるほどの、もしかしたらあるかも?!にワクワクした読書時間でした。
「この胸の中にはタブローしかないんだ!」絵画に人生を捧げたゴッホの言葉には胸をうたれました・・
ゴッホとゴーギャン。美術に疎い方でも名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。そんな二人の苦悩と葛藤。生きている間には才能認められず、もがいてもがいて。個人的には快楽主義で楽しく生きていたと思っていたゴーギャンが孤独だったのかもというのも興味深かったです。
今もなお世界中で愛されている偉大な画家の苦悩、孤独、幸せ、葛藤、嫉妬、憎しみや愛。名もなき感情に心乱される、自分と同じ人間で。というか自分よりよっぽど人間臭く純粋で激しくて。。
こちらだけでもとても面白い作品でしたが、原田マハさんの『たゆたえども沈まず』を読んでからこちらを読むと更に理解が深まって楽しく読めると思います。
こちらの作品はアートに興味がある方、アートの向こう側の人間臭さを覗いてみたい方、世界観のある話が好きな方、真実かもしれない?!と思うリアルな話が好きな方にオススメします。
マハさんの作品を読むと無性に美術館へ行きたくなります。ぜひ読書で新しい世界を知る体験を皆様にもして頂きたいです!
★★★★★4.5
城崎温泉 泉翠 冨田 歩