窪 美澄さんの作品です。

無口だけど優しい夫と義両親、息子も産まれ幸せな人生を築くはずだった。次第に歪みが生じていく。死別、喧嘩、離婚、、壊れかけた家族を救ったのは息子の智晴。母と幼い弟たちを支えて懸命に生きている家族のお話。

セクシー担当の窪美澄さんだし（←個人の見解です）、題名的にも母だって恋するわよ！みたいなイケイケの話かと思ったら、家族の温かいお話でした(笑)

第一部は母である由紀子の視点、第二部は高校生になった智晴からの視点でかかれています。

智晴の視点が特に共感してしまって。家族を捨てた父への怒り、でも嫌いになれなくて、素直に甘えれなくて。学校では父の新しい家族の連れ子と同級生といった複雑な環境にも恥ずかしさを感じて。親の恋を目の当たりにする衝撃。智春の心の成長がとても良い。

母の頭をなでる智春のシーン、もらい泣きしてしまいました。

シングルマザー、離婚家庭、いろんな家があるんだけど、形は変わっても、世間から見たら歪でもそれでも家族なんだよ、どんな形でも間違ってないという強いメッセージを感じました。

家族との向き合い方、多様性、『普通』ではない家族に少しの偏見を持っている人、普段とは違う窪美澄を読んでみたいという方に特におすすめします。

★★★★☆

城崎温泉 泉翠　冨田 歩

https://kinosaki-sensui.com/