山本文緒さんの7年ぶりの新刊。学生時代から大好きな山本さんの久々の本が読めるとあって期待いっぱいで読み始めました。
32歳の都は、母親の看病のために正社員だった仕事をやめ、実家の茨木に戻りアウトレットモールの契約スタッフに。地元の友達は次々に結婚していき、自分にも彼氏は出来るが、優しいけど経済力のない彼との結婚は自分でもどうしたいかわからない。会社ではセクハラにパワハラがおこり状態は悪化していく。ぐるぐる悩む都に彼氏が言った言葉が『そうか、自転しながら公転しているんだな』
あらすじだけ見ると、結婚や介護や仕事ってあれこれ詰まってて正直よくある感じ・・ですよね?
でも違う!!違った!!
全てのことがとってもリアルで絶妙、自分の過去をなぞってるかのようなヒリヒリ感。
主人公の都は年の割には幼い気もしてイラッともするんだけど。悩んで立ち止まって回り道をしてしまう姿にう~んとも思ったんだけど。
人から見て回り道な事でも、自分の納得いく答えを探すってのが大事なんだなと改めて気づかされました。
周りの幸せを見るんじゃなくて、自分の本当の気持ちに素直になるのがどれだけ大事なのか。
リアルで濃い、でも濃すぎてしつこいこともない。久しぶりの山本文緒さん、さすがです!!久しぶりに夢中で読みました。
★★★★★
城崎温泉 泉翠 冨田 歩