温 又柔さんの作品です。
就活に失敗し、逃げるように結婚を選んだ桃嘉。優しい台湾人の母に祝福されるも、理想だった夫に一つ一つ《大切なもの》をふみにじられていく。
ママがずっとわたしの恥部だった・・
娘の桃香と台湾人のママの物語が交互に綴られていました。
正直、桃嘉のキャラクターには好感がもてず、つらい目にあっていても、そこまで感情を持つことが出来ませんでした。そもそも結婚って逃げでするものではないし、スペックで相手を選んだのはあなたでしょ。甘ったれ。
両親が台湾人という事実を持つ作者が書く台湾での家族や街の描写はなぜかなつかしく切なくなります。
いたたまれない気持ち、思い当たる節、後悔。
「夫婦としてやっていくのに最も重要なのは、妻が言いたいことをなんでも言えること」
このフレーズが何度も出てきますが、私はもう一言足したい。
「そして夫は妻の話をよく聞け」
外国で嫁ぐという孤独、母娘の行き違い、ノスタルジー。
違う人の人生を体験できるのが読書の醍醐味の一つだったなとふと思い出した1冊です。
静かに余韻を残す本。。
退屈を感じているあなたにこちらの本をオススメします。
★★★☆☆
城崎温泉 泉翠 冨田 歩