多くの芸術家に影響を与えた浮世絵に興味があった私が東京の葛飾北斎美術館に行った時に、ミュージアムで販売されていた思い入れのあるこの本。
葛飾北斎ではなく、その娘で同じ絵かきであるお栄が主人公のこの作品。
あの時代の息づかいをすぐそこに感じるような話で夢中になりました。
お栄の絵への情熱、天災のこと、叶わぬ恋の事、問題ばかり起こす甥っ子のこと。どんなことがあっても自分には絵しかなく、そこへかける思いに胸を打たれました。
北斎って変人だと思っていたのだけど、思いやりもあって優しく二人の絆にも胸打たれました。北斎の娘でもあるけど、北斎も娘にかなり支えられていただろうなと。
父も娘もただものじゃない。カッコいい!!
江戸っ子らしいキップの良さ、全てのものを投げうってでも打ち込みたいものを持っている人間の眩しさ。
あの時代に女性が自分のやりたい事を優先する生き方はどれほど大変だっただろう・・生きづらかっただろう・・
幸せな結婚や出産といった一般的にいわれる女性の幸せとはまた違った生き方だったけど、ここまで目一杯やりたいことをやりきった彼女は最高に幸せだったはず!!潔い人生!!
作品の表紙にもなっている、お栄が晩年にしあげた『吉原格子先之図』はいつか実際に見てみたい。
爽快な気分になりたい方、やりたいことがない人、最近胸が震えてないなって人、一生懸命な人が好きな人、時代小説が苦手な方も読みやすいのでぜひ、全ての女性にオススメします。
★★★★★
城崎温泉 泉翠 冨田 歩