城崎温泉 泉翠 | 若女将の読書 | 内館牧子| 十二単衣を着た悪魔 |
2025.06.15
十二単衣を着た悪魔

内館牧子さんの作品です。

59もの会社から内定が出ぬまま大学を卒業した二流男の伊藤雷。それに比べ、弟は頭脳も容姿も超一流。ある日突然、『源氏物語』の世界にトリップしてしまった雷は、后妃・弘徽殿女御と息子の一宮に出会う。一宮の弟こそが、全てが超一流の光源氏。雷は一宮に自分を重ね、光源氏を敵視する 弘徽殿 女御と手を組み暗躍を始めるが・・・

とっても面白い平安時代×エンターテイメントでした!!!源氏物語がべ-スになっているのですが、平安時代って十二単衣にお香を焚きしめ、貴族は和歌や蹴鞠の優美な時代ってイメージではありませんか?物の怪や陰陽師、男性でも得体のしれないものに怯え、すぐに泣いてオヨヨヨ~とか言ってそうな…好きな時代の1つですが、平安時代がテーマのものって砕けた内容のものは少なく、その意味でも目から鱗の部分がある、こちらの作品面白く感じました!

現代社会では自称落ちこぼれを感じている主人公がタイムスリップで平安時代に行き、陰陽師として平安時代を生き抜く物語なのですが、現代の学生による平安時代の視点が斬新!ジタバタしながらも平安時代に馴染んでいく姿もいい!

こちらは作者である内館さんが、高校生の頃に源氏物語を読んで 弘徽殿の女御が好きで好きで。なぜこんなにも意地悪ヒステリック権力者みたいに書かれているんだ?!と構想を練って書かれた 弘徽殿女御目線なところも◎内館さんの深い源氏物語愛と弘徽殿推しのパワーが作中には溢れていました。

源氏物語を読んだことがある方は、新しい視点が楽しいと思います。読んだことがない方はざっくりとどんな話か分かるので、これまたオススメです。古典と読書に馴染みのない方の架け橋になる1冊かと思います。

★★★★☆

城崎温泉 泉翠 冨田 歩

https://kinosaki-sensui.com/

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