城崎温泉 泉翠 | 若女将の読書 | 額賀澪 | 青春をクビになって 青春をクビになって |
2024.01.02
青春をクビになって

額賀澪さんの作品です。

夢の諦め方は誰も教えてくれない

瀬川朝彦、35歳。無給のポスト・ドクターである。
学生時代に魅了された古事記の研究に青春を賭してきたが、教授職など夢のまた夢。契約期間の限られた講師として大学間を渡り歩く不安定な毎日だ。古事記への愛は変わらないが、今や講師の座すら危うく、研究を続けるべきかの煩悶が続いている。そんな折、ゼミ時代の先輩が貴重な資料を持ったまま行方不明になってしまうという事件が。
45歳の高齢ポスドクとなっていた先輩は、講師の職も失い、なかばホームレス状態だったという。先輩は資料を「盗んだ」のか?自らの意思で「失踪」したのか?そして、朝彦の下した将来への決断は?

うぅ~ん・・研究職や専門度が高い仕事ほど、狭き門なんだろうとは思っていましたが、ここまで食うや食わずのギリギリ状態とは・・厳しさがとても伝わってくるのと同時に、そうまでして追いたいものがある主人公たちが少し羨ましくもなりました。

お金になるけど好きではない仕事、好きだけどお金にはならない仕事。いろんなバランスがあって、本人が納得出来るところを見つけれていたらちょうどいいんだろうけど。抱えるもの、捨てるもの、思い入れの大きさがあるほどに、生きるための選択の辛さを感じました。

主人公が生活費の為にアルバイトでレンタルフレンドをするんだけど、そこでも様々な人間模様が見れたのも興味深かった。

切ないけど、やはりどこか追いたい青春をもつ人のことを羨ましく感じ、いろんな生き方をする人を知れる満足度の高い読書となりました。完読したあとにより感じるタイトルの絶妙さ。

ほろ苦い話を読みたい方、いろんな人間模様を覗いてみたい方に特にオススメの作品です。

★★★☆☆

城崎温泉 泉翠 冨田 歩

https://kinosaki-sensui.com/

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