月夜行路
秋吉理香子さんの作品です。
専業主婦の涼子は、冷え切った夫との関係や言うことをきかない二人の子どもとの生活に、徒労感と閉塞感を覚えていた。45歳の誕生日を明日に控えた深夜、夫に女性から一本の電話がかかってきた。我慢の限界に達した涼子は、家を飛び出す‥。涼子が向かった先は、夫の愛人ホステスが勤めるクラブの入ったビル。1階のBAR「マーキームーン」に入ると、文学好きの美しいママが話しかけくる。性別は男だというママは、涼子の悩みや素性を鋭い洞察力と推理力で言い当ててしまう。涼子がママに夫の愚痴を話すと、唯一の「良き思い出」である大学時代の彼氏・カズトにもう一度会おうと、旅に出ることになる。
夫に裏切られ、子どもに冷たくされ家を出るってドロドロした話かと思いきや、美しく頭脳派なBARのママとの元カレ探しは、次々と事件に巻き込まれていくんだけどママがサクッと解決していくのが楽しいし、舞台となる大阪の文学ゆかりの場所が沢山出てくるのも二度楽しい!!
出会って1日も経っていない2人の珍道中は、意外と息があってて。二人のやりとりがいい感じ。特にママの器の大きさや優しさが、とても素敵で・・面白く最後はちょっとホロリあり、良い読後感です。
みんな他人の何かを羨ましく思う、けどそんな自分も他の人からは憧れの存在みたいなママの考え素敵。頭では分かっていても、日常生活おくっていると忘れがちで・・改めてそうだと思った。
日常にマンネリを感じる方、なんかちょっといい話をお探しの方、軽いミステリーが読みたい方にオススメです!また大阪にゆかりのある方は知っている場所が出てくるので楽しいと思います。
★★★☆☆
城崎温泉 泉翠 冨田 歩