藤野恵美さんの作品です。
賢い子どもに生まれたって、強く生きられるわけじゃない。賢い子どもを産んだって、簡単には育てられない。高い知能を持つことは、神様からのギフト?それとも試練?国内トップの大学を卒業し一流企業に就職したものの退職、現在はフリーランスの翻訳者として慎ましく暮らす凛子。姪の莉緒は、読書と昆虫が大好きで論理的思考が得意だが、融通が利かずコミュニケーションに難がある、危うい小学生だ。莉緒の中学受験に伴奏することになった凛子は、周囲の期待にうまく応えられなかった自分の半生を振り返る‐‐
ギフテッドとは、同世代に比べて高い能力を持った人々という意味で、人口のおよそ2%にあたるそうです。
存在は知っていましたが、生まれながらに才能があるなんて羨ましい~!なんて思っていたのですが・・能力が高すぎるゆえに浮いてしまう生きづらさなど、ギフテッドならではの悩みもあるんですね・・2%の数字も少ないようで、意外といるのだなといった印象。日本でも好きなことを追求できるような環境や、飛び級制度があったらいいのに。
天才児の姉と、発達障害疑いのある弟との対比。現代の競争社会、幸せってなんだろうと考えさせられました。ただ単純に賢ければいいってわけでもないし、一流の教育を目指すことと、個人が幸せになるための教育は別物であるということ。
叔母である凛子と、子供らしからぬ莉緒ちゃんの2人の年齢差を感じさせない関係性も素敵でした。自分を理解してくれる人が近くにいて莉緒は幸せだね。
ラストで莉緒が、発達障害疑いのある弟の為にする選択が、賢くて優しくて・・グッときました。
初めて知ることも多くて楽しめました!『ギフテッド』や受験・教育に興味のある方には特におすすめの1冊です!
★★★★☆
城崎温泉 泉翠 冨田 歩