島本理生さんの作品です。
かつて子役だった沙良は、芸能界で伸び悩んでいた。自分の正体を全く知らない人間に会いたい。そんな折に酒場で偶然出会った柏木という男に、たまらない愛しさと憐憫を感じた‐‐愛に似て、愛とは呼べない関係を描く。
好き嫌い別れる作品かと思います。私の場合どちらでもないけど、ハマりもしないし、共感もない。文章自体は好きだし、気になって最後まで読むのだけど、残るものがないというか。。好きなキャラがいないというのも私の場合珍しくて。
憐憫とは・・かわいそうに思うこと、あわれむこと
タイトルと内容が最後まで読んでもマッチしないというか、そういうこと!という感覚もなく‥
ただ愛に似て愛とは呼べない関係というのは分かった。こんなにもお互い欲しているのにストンと冷める独特の感じとか。その時の自分を心を助けてくれる相手ではあったのだけど、愛に感じたけどそうではなかった、ということなのかな。
『正直、年をとっても変わらず綺麗なんていうのは幻想だけど、女は誰でも若い頃が一番だっていうのも嘘だよ。その顔が最も映える年齢ってのは人それぞれあるから』
『彼が分かっている、ということを私は分かっている、ということを彼が分かっていること。望んだものは、それだけだった』
『正しいからといって、人は後悔していないわけではないのだから』
とても読みやすい1冊でした。島本さんの空気感を感じたい方、不鮮明な大人の恋愛に触れてみたい方にオススメします。
★★☆☆☆
城崎温泉 泉翠 冨田 歩