町田そのこさんの作品です。
大丈夫。私を頼って。きっと、この物語はあなたの人生を支えてくれる。
宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。
やさしくて、やさしくない。でもやさしい・・そんなお話でした。
町田さんの書くどこか歪な家族ノカタチ。子どもの世話は他人に任せて、授業参観には行かずに恋人とデート。最初はあまりにも自分本位なお母さんの花野さんにムカムカしてたんだけど。この人はこの人で事情があって。
親子がお互い認めあって困難を乗り越えながら、成長していく姿に泣けました。
『自分を守るために自分自身を剪定しなきゃいけないときって、あんのよ。でもそれは自分の芯、幹を守るためだから、幹は絶対失われないのよ。だから、大丈夫よ』
『しちゃいけないこと、誰かを傷つけてしまうことを、自分の我儘でしちゃ、だめだよ。きちんと生きてるひとたちが、バカみたいだもん』
『素敵な母親なんてのはどこにも転がっていなくて、お母さんはただの「家族」なわけ』
『不思議だよね。ぼくたちは同じような系統の本が好きで、同じような本ばかり読んでいるのに、抱えてる気持ちとか眺めている角度が全然違う』
『感情のままに哀しいことを言ったからって、それが本心とは限らない。本気で相手と向かい合ってるから、疲れることもあるんだ』
『魔法のような、奇跡のような、瞬間的に救われる答えなどはない』
『誰にも頼れないって、辛いものだよ。彼の寂しい心に一度は触れちゃったんだから、最善をつくしなよ』
『哀しみ方も変わるのよ。あなただって子どもの時のように泣き喚いたりしなくなったでしょ?人は変化して成長していくの。哀しみ方だけじゃなくて、喜び方に愛し方、気持ちの伝え方。ずっと試行錯誤してひとつひとつ噛み締めて生きるのよ』
宙を支えてくれる周りの人も素敵で。特にやっちゃん!!すっごい好き・・読めばわかる。深くて優しい愛を持ってる男前な人。やっちゃんはホントに素敵!!読んで!!なぜならやっちゃんが素敵だから(笑)
よくできた小学生マリーちゃんとの話も。うぅ。。「家族」とは一緒に生きていく集団って考え方、いい!
Lサイズのピザ2枚のくだりも好き。
辛いことが沢山出てきたけど、それでも最後は心地よく読み終えました。多くの人に手に取って頂きたい、私の“推し”の1冊が増えました。
辛い時は支えてもらったらいい、辛い人がそばにいれば支えてあげれるなら今度は支えてあげればいい。いろんな人に支えられて生きていけばいい。
美味しいご飯を扱ったちょっと深~い話を読みたい方に特におすすめします。
★★★★★
城崎温泉 泉翠 冨田 歩