垣谷 美雨
垣谷美雨さんの作品です。
58歳の主婦・澄子は、横暴な夫・孝男との生活に苦しんでいた。田舎の狭いコミュニティ、ギスギスした友人グループ、モラハラ夫に従うしかない澄子を変えたのは、離婚して自分らしく生きる元同級生との再会だった。
勇気を振り絞って離婚を決意するも、財産分与の難航、経済力の不安、娘夫婦の不和など、困難が山積。澄子は人生を取り戻せるか？
平凡な主婦による不屈の離婚達成物語。
話題のこちらの作品。いろんな意味で衝撃でした。というのも、暴力をふるうでもない、浮気をするわけでもない。でも友人の夫の訃報を聞いて羨ましい気持ちが湧き上がる主人公に。その主人公も普通の、平々凡々な人なのにそんな気持ちを持ち合わせていることにも。そしてこの本が共感を呼んでいるといった事実にも。
澄子のことを不憫に思う気持ちはありつつも、うだうだ言ってるシーンの長さに前半は辟易・・澄子がどう変わっていくのかだけを見守りたく読み切りました。
夫源病といった言葉があるくらいなので。大なり小なり既婚女性は共感できる部分はあると思います。とくに熟年世代は刺さるのかなと。男性には耳が痛い言葉が多くありますが教訓のために目を通してみるのもいいのではないでしょうか？
世代や、自分が置かれている環境で、感想は全く違ったものになりそうな内容です。
『今を変えるのは誰だった怖い。人は本質的には変化を望まない。でも現状を変えるのはいつだって少しの勇気』
『できない理由を探すのではなく、どうしたらできるのかを考えて行動すること。それが自分らしく生きることにきっと繋がる』
この先もっともっと年を重ねていっても諦めることなんてない！と私は勇気がもらえました。
余談ですがこちらの作品の舞台。きっと城崎温泉のすぐそばの出石です！なんとなく風景の描写がまさか・・といった箇所があって。コウノトリが空を飛んだり、主人公が話している会話で『城崎の旅館がリニューアルしたらしい』とか。但馬の感じがてんこ盛り！！地元を感じるたびにおぉ～！！と思いながら楽しく読んでおりました♪
60代前後の方、離婚検討中の方、爽快感のある読書をしたい方、話題の本が気になる方に特におすすめします。
★★★☆☆
城崎温泉 泉翠 冨田 歩
