若女将の読書 | たまごの旅人 | 近藤史恵| 城崎温泉 | 図書室のある宿
2021.11.30
たまごの旅人
たまごの旅人
たまごの旅人
近藤 文恵

近藤史恵さんの作品です。

念願かなって、海外旅行の添乗員になった遥。アイスランド、スロベニア、パリ、西安で、ツアー参加者それぞれの特別な瞬間に寄り添う。ところが2020年、予想外の事態がー。地球の裏側で遭遇する“日常の謎”未知の世界へ一歩踏み出す勇気がわいてくる物語。

海外旅行添乗員の「たまご」の遥が、いろんなワガママなお客様に奮闘するお仕事小説です。主人公の不安や、好きな事を仕事にする苦しさ。遥の気持ちを懐かしく思ったり、、頑張る女の子の話、好きだなと改めて思いました。

添乗員さんって色んな所に行けて、色んな人に会えて華やかに見えるんだけど、とっても大変!たまご状態でこれだけ頑張れたら優秀だけどなぁ~立派だよ~!とひたむきに頑張る姿に応援しながらの読書です。

旅先でのそれぞれの国の情景の美しさ、その土地ならではの食べ物の美味しそうなこと!知らない国に触れたような“エア旅行”している気分になります♪世界は広くて知らない所がたくさん。それはこれから知れる楽しみがたくさんあるということ。ワクワクします!

最終話は、コロナ禍になった沖縄で過ごす遥が気付くこと・・厳しい旅行会社の現実、今できることに目を向ける前向きなラストで良かったです。

『望んだものがそのまま手に入ることなんて、たぶん簡単じゃない。だが、望んでいなくても、素敵なことは転がり込んでくるかもしれないのだ』

『でも、ようやくわかった。好きなことを仕事にするということは、好きなことの中に痛みや後悔が降り積もることなのだ。好きなことを、好きなだけではいられないのだ。』

『でもさ、百パーセント向いている人もいないし、百パーセントわたしに合う仕事もきっとないんだと思う』

『かなった望みはいつの間にか日常になり、叶わなかった望みだけが大きく感じられる』

『気持ちさえ変われば、世界がまるで違うように見えるのだ』

好きなことを仕事にするがゆえの悩み。これはあるあるですね!ただ仕事って、お金を稼ぐというのに簡単なものはない。どんな仕事でも壁にぶつかるし、悩むし、苦しいことも出てくると思う。どうせ悩むなら好きな事で悩みたくない?乗り越えた時は成長できた時だし、楽しい時や嬉しい時も好きな事で感じれたほうが良くない?これが私の仕事に関するファイナルアンサーです。

旅行が好きな方、お仕事本が読みたい方、前向きな気持ちになりたい方に特にオススメします。ストレスを流してくれるようなとっても素敵なお話でした。

★★★★☆

城崎温泉 泉翠 冨田 歩

https://kinosaki-sensui.com/

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