朝井リョウさんの作品です。
生き延びるために、手を組みませんか?いびつで孤独な魂が、奇跡のように巡り遭う。あってはならない感情なんて、この世にない。それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ。共感を呼ぶ傑作か?目を背けたくなる問題作か?絶望から始まる痛快。
息子が不登校になった検事。初めての恋に気づいた女子大生。秘密を抱える契約社員。それぞれの人生が重なり合う。
私の個人的な判断だとこれは傑作であり問題作でした。
読む人を選ぶかもしれない。嫌悪を感じる人もいるかもしれない。
『多様性』がテーマとして何度も出てくるんだけど、言葉では理解していたつもりだったけど、全く理解していなかったことに気づき、愕然としました。自分が想像できる価値観レベルの少数派以外の、もっともっと一部の人のこと、そういったこと含めの多様性という言葉だったこと。
「自分が想像できる“多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」
誰もが生きやすい社会って幻なの?多様性って素敵な言葉。そんな盲目的に信じていたものがそうではなかった。
自分の頭で想像できることなんて、たかがしれてる。理解した気になっていただけ。それを常に突きつけられているようでした。
誰にも言えない生きづらさを抱えた人、自分の想像力を試したい人にオススメします。読むと何かがきっと変わります。気分が沈んでいるときは控えた方がよいです。
★★☆☆☆
城崎温泉 泉翠 冨田 歩