六人の嘘つきな大学生 | 浅倉秋成 | 図書室のある宿 | 城崎温泉 泉翠
2021.08.21
六人の嘘つきな大学生

浅倉秋成さんの作品です。

ここにいる六人全員、とんでもないクズだった。

成長著しいIT企業が行う初めての新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一ヵ月でチームを作り上げてディスカッションするというもの。

全員で内定を得るべく、六人は交流を深める。が、本番直前に課題の変更が通達される。それは「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定をかけた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼らの嘘と罪とは?そして犯人の目的とは?

コレめっちゃ面白い!!新卒採用といったテーマもだし、さっきまで仲間だった人がライバルになる怖さ。学生たちの表の顔、裏の顔、そして本当の姿。緊張感。最後までどうなるんだろうと夢中で一気読みしました。

新卒採用は当館でも始めていて学生さんと触れ合う機会があるのですが・・自分をアピールするために大きく見せたり鎧かぶったり、嘘や不安で見てられない人もいたり。もちろん夢や希望にあふれてキラキラしていて眩しい子もいるし、将来に向かって幼いころから努力している子、感心する人もいる。本当に独特な空気感があって。

会社の面接する側の人間だって完璧はない。優秀な人間を面接時間で見極めれるのかってのに絶対の自信があるかというと難しい部分が正直ある。学生さんも大変だと思うけど、会社にとっての重要な選択を任される責任、世の人事担当している人だって大変・・

就職活動という多くの人にとって通るであろう身近なテーマ。意地悪にいうと「自分取り繕い期間」の圧倒的な現実感、必死で切ない若者たち。正義と優しさと愚かさ。本当に面白い。伏線の回収も心理戦もオミゴト!!

相手の一面だけ見て、良くも悪くもその人を決めつけてしまう恐ろしさ。世の中には完全にいい人も、完全に悪い人もいないのではと改めて思わされました。

現在、就職活動真っ只中といった方以外には楽しんで読んで頂けるかと思います。

★★★★☆

城崎温泉 泉翠 冨田 歩

https://kinosaki-sensui.com/

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