谷村志穂さんの作品です。
息子が就職し、家を出たことで片づけていた部屋、クローゼットの片隅に置かれていたパソコンの中に見つけたのは、長年連れ添った夫と若い女との21年の親密なメールのやりとり。
読んですぐ引き込まれてしまって、手が冷たくなる、汗をかく、そんな症状がでるほどにはまってしまいました。
自分が必死に子育てしていた頃、何をしてたの?
読みたくない、知りたくないのに、体調を崩しながらも読んでしまう主人公の心境がツライ。
信じていた夫が、若い女にハマっていくところをつぶさに知ってしまうなんて。
更にその若い女は、二人の関係を私小説として出版して「不倫小説の傑作」と評価されていた。
最初はそのお相手の女性にイライラしかなかったけど、勝手だけど、その人もその人なりに苦しみはあるんですよね。
2人の女性をとことん苦しめてるのに、夫はいつでも飄々としていて・・どうしたらこの男を苦しめてやれるんだろうと考えながら読んでました(笑)
とてもとても残酷なお話です。
スッキリもしないし、感動もない。
だけど読んでしまう不思議。このジャンルなんなんでしょうね。『イヤミス』ならぬ『イヤ恋』??
報われない恋の話が好きな方、内臓えぐられる気持ちになりたいって方にオススメします。
★★☆☆☆
城崎温泉 泉翠 冨田 歩