原田ひ香さんの作品です。
時代を超えた二人の女性。フリーのSE兼料理研究家の留希子(実家は老舗の料理学校)と、その老舗料理学校の創立時に女中奉公にきていた、しずえをいったりきたりで話は進んでいきます。
胃も心も温まる『家庭料理』小説。
原田さんの作品は美味しそうな描写がたまらなくなるものが多く、胃も心も温まるといったフレーズにも惹かれ読み始めたのですが・・
なかなか心温まらず、まだ?!まだ?!と読んでおりました・・
しずえさんの描写は昭和初期なので時代違えば、価値観・生きる姿勢・考えなど異なる事も多いだろうとはもちろん差し引いても!それでも無垢で純粋なしずえを搾取しているように感じられてしまい歯がゆさが強かったです。
苛立ちながら読んでいた私ですが、ラストには勝手に涙が流れていました。
レシピを考案することの大変さや、戦前の日本の家庭の話には読みやすを感じながらも重みがありました。
この最後のしずえを良かったなぁと思うか切ないと思うかはあなた次第。
受け継がれるということ・・重いです。
読みやすいのでどんな方でもマッチしそうですが、昭和後半~平成生まれの人は特にオススメかもしれません。あなたの祖父母の時代はこんなだったんだよ、そういた時代を経てあなたはいるんだよと伝えたいです。
★★★☆☆
城崎温泉 泉翠 冨田 歩