柴田よしきさんの初の時代物。
父親に売られ、縁あって品川の料理宿で働くことに。
女の料理人が珍しい時代に、天性の嗅覚・味覚、そして食べる人を思いやる気持ちで新たな料理を思いついていくお勝手で働くやすちゃん。
年季があけるまではお給料もなく目が覚めて~寝るまでは働きっぱなし。
それを不満に思うわけでもなく白いご飯を食べれる幸せをかみしめる健気な女の子、応援したくなります。
いろんな料理が出てくるんだけど、シンプルに白いご飯をご馳走と思える文章に振り返る。
白く炊きたてのご飯、噛みしめると甘みを感じて。
日本人ならわかるであろうこの感覚、毎日感じながら食べてはいなかったかも。大事な事なのに。
江戸時代×頑張る女の子×お料理のお話は、なんだか大好きなあのシリーズに似ている・・?と読みだしたものの、
これはこれで面白い。
あんちゃんの頑張りも応援したくなるし、宿の人は厳しくも温かい。
子ども扱いすることなく、導き、大らかに見守る周りの大人たちから仕事に対する姿勢を教えてもらった気がする。
なんだか楽しそうなシリーズが始まったことが嬉しい。
優しくあっさりした文章なので、時代小説に抵抗のある方でもぜひ!
★★★★☆
城崎温泉 泉翠 冨田 歩